広告主課題の部◇選評
アートディレクター 大貫卓也
「『窓』に込めた大きな真理」
窓があるという事は人間がいるということ。簡単な事だけど、その俯瞰の視点が秀逸だ。雪山で遭難して窓の明かりを発見したり、クリスマスの夜に売れないマッチを片手に窓を覗いた経験でもなければ、窓という存在を愛おしく感じる瞬間はないだろう。この視点だけでも多くのアイデアが降りてくる。しかし、この作者は俯瞰の視点が更に高い。窓があると何か生物がいると言っているのだ。「そうか、生きものは窓なしでは生きていけない」一見すると稚拙なコミュニケーションに、そんな大きな真理まで込められている。膝を打つような「 YKK AP 」のアイデアに多くの審査員票が集まった。命が軽んじられるような現代社会に対しての視点を感じさせた「100 万回生きたねこ」、日常では見ることのできない割烹着を着た日本の母への郷愁を巧みに商品に定着させた「キッコーマン」、フランス国旗を1色だけオレンジに変え、「自由・平等・自然の恵み」とした「オランジーナ」。年々、応募作品がビジュアル表現のみに傾倒する中で、本当に優れた作品にはビジュアルだけではなくコピーが大きな役割を果たしている事が再確認できたよう
